三軒茶屋駅から徒歩8分の場所に2018年にオープンした、タコス専門店「LOS TACOS AZULES(ロス・タコス・アスーレス)」は、日中のみ営業するスタイルのお店です。オーナーシェフは、メキシコ人のマルコ・ガルシアさん。現在は、こちらのお店のほかに、恵比寿にコースで提供する「TACOS BAR」の運営もおこなっています。
ブルーコーンというメキシコの在来種のトウモロコシにこだわって直輸入、製粉するところからこだわる徹底ぶり。
今回は、オリジナルタコスの魅力とドリンクのこだわりについて、目を輝かせてお話いただいた、お店のことを熟知している宮臺恵理さんのインタビューをお届けします。
お店の簡単ルールをご紹介。こちらのお店は朝の9時からオープンする、焼き場が見えるカウンター席とテーブル席あわせて19席の空間。
1)予約は受け付けていません
2)1チーム6名様まで
3)みなさま揃ってからの入店
トルティーヤ生地はオーダー後、鉄板で一枚ずつ焼き上げるのですが、この鉄板にのる枚数が1度に6枚までということもあって、6名様までをルールに設けているそうです。
今回ご紹介いただいたタコスメニューは、人気メニューの「焦がしなすと山羊チーズ」と「筍と山椒のチョリソーベルデ(※シーズンメニュー)」。
まずは、仕上がりまでをじっくりと観察。まるでスシ飯が入っているように錯覚する桶の中にはタコス生地が入っています。1枚のグラムを量り、形を作り鉄板の上へ。焼き上がりまでは約1分、生地のふくらみなどをチェックして両面を焼き上げます。その後は、お皿の上で盛り付けを開始。一枚の中で彩りのバランスや素材ごとの配置にまで繊細に気を配ります。
「夏の看板メニューともいっていい、“焦がしなすと山羊チーズ”ですが、実は偶然によるメニュー開発だったんです。オーナーのマルコがなすを焼きすぎてしまって(笑)そのなすをペーストにしてみたら、とても香ばしくておいしくて誕生したという秘話があります。なすのペーストの上には、アボカドと少しクセのある山羊チーズ、パクチー&パクチーの花、エパソテというメキシコのハーブを添えています。一緒に味わっていただくことで、それぞれのうまみが重なりテイストが完成するのです。別添えソースは、ホオズキで作った酸味のある“トマティーヨ”というソースです。味変をしながら楽しんでください。そして今年も春メニューの“筍と山椒のチョリソーベルデ”も大人気でした。こちらに使用している実山椒もマルコがほれ込んだもののみを使用しています。筍のシャキシャキ食感がアクセントですね」
一皿ごとに別の感動を与えてくれるタコスは、人気が出ることは必然だったように思います。今では、お客様がオープン前から列をなす盛況ぶり。
「オーナーのマルコが細部にまでこだわり抜いて作ったこのお店ですが、今年の9月で、もう6周年になるんですよ。ただ、3年ほどコロナでしたので、ようやく本格稼働しているという感じですね。私はまさにコロナの時期に入社したので」と、宮臺さん。
マルコ氏は、外交官をめざし日本に留学したことをきっかけに、日本の食文化の魅力にひかれ、「日本全国の旬の食材を使って、メキシコの伝統的なタコスを提供したい」との思いからスタート。結果的に、お店を通じて日本とメキシコの架け橋になっています。
一方、宮臺さんは、アパレル10年、飲食業界10年というキャリアを持ち入社。
「旅が好きで、メキシコにも行ったことがありましたが、タコス専門店にご縁があるとは思っていませんでした(笑)そもそも以前の会社を卒業する際に、別の方向へ進みたいと周囲にお伝えしていたので。本当に不思議ですよね、今、かつてメキシコを旅していた時に思ったことなどを答え合わせしている感じです」
ドリンクメニューもすべてマルコ氏の考案。今回は、爽やかな季節のアグアスフレスカス(愛南ゴールド)をご紹介です。
*愛南ゴールド:南宇和郡愛南町産の河内晩柑。果汁たっぷりで苦味が少なく「和製グレープフルーツ」とも呼ばれます。
アグアスフレスカスを日本語訳すると、フレッシュな素材を使ったジュースのこと。
旬のフルーツをふんだんに使ったノンアルコールのドリンクは、お店では開店当初から人気メニュー。
「この時期は、パッションフルーツか愛南ゴールドで提供しています。季節によってフルーツが変わるのでそのシーズンごとに楽しめます」
「お店の朝は、日々製粉の工程からスタート。シンプルにトウモロコシと水のみで作り上げる生地は、その日に使う分のみを作ります。メキシコの在来種でもある、ブルーコーンをわざわざコンテナで輸入してまで使うのにも理由があります。生産者さんを守るためなんです。誰かが求めない限り、生産者の方が作るということはありません。メキシコからコンテナで届く、80袋(1袋約20kg)のトウモロコシを運ぶのもスタッフのイベントになっていますね」と、忙しいお店をてきぱきと取り仕切る、宮臺さん。
「夏のおすすめで“ゴーヤと砂肝”というメニューがあるんです。ぜひ楽しみにきてください!!」と満面の笑顔で送り出してくださいました。