生産者の声
マチルダ生産者

マルネ農園 代表 長嶋真人さん

マルネ農園 代表 長嶋真人さん

神奈川県三浦市の「マルネ農園」では、微生物が活躍する健全な土づくりを目指す「酸化還元農法」を追究し、野菜を栽培しています。その栽培方法に共感し、多くの生産者が師事するのが、代表の長嶋真人さんです。
「農家としては、3代目、4代目あたりかな。私自身は、高校を卒業してから33歳ぐらいまでは土木の世界にいたんですよ。でも、それが良かったですね。初めから農業をしていなかったことで、先入観にとらわれず、独自の道を開拓できたと思っています」と長嶋さん。
現在では、栽培や出荷で生産者同士が協力する「理現の会」も立ち上がり、安定した出荷体制を築いています。
長嶋さんに、こだわりの栽培方法にかける思いや、仲間とともに目指す農業のかたちについて伺いました。
マルネ農園 インスタグラム

■野菜を食べることで元気になってほしい

取材に訪れた7月上旬。お話を伺ったビニールハウスの中には、青々とした葉を茂らせ、凛と立つピーマンの姿がありました。
「実はピーマンは、イチゴの裏作なんですよ。ピーマンにしては、高さがあるでしょ?
イチゴを始めた当時は、三浦でイチゴを作っている人が誰もいなかったんです。
私が初めて栽培したのは大根なんですが、親父から代替わりして、新たに始めたのがイチゴです。初めてのチャレンジで、めちゃくちゃ苦労した記憶がありますね。誰かに聞くわけでもなく、全部自分で考えて。イチゴって可愛いし、ビタミンも豊富で美容にもいいし、元気になるイメージがあるから、農薬を使わずに作ってみたかったというのもありますね」

ビニールハウスのピーマン

「マルネ農園」が理念とする酸化還元農法とは、土の中の酸素や水分、微生物の働きなどに着目し、作物が健やかに育つ土壌環境を整える農法のこと。土の状態を適切に保つことで、根の働きや養分の吸収を助け、作物本来の力を引き出すことを目指します。

「最近は、化学物質過敏症の人が増えたという声も聞きますし、子どものアレルギーもまだまだ多いですよね。身体に必要のないものをうまく排出できないことも、影響の一つではないでしょうか。だったら、そもそも余分な農薬や化学物質を取り込まないほうがいい。そんな視点で栽培をしています。栽培の過程では、化学肥料の成分がどのタイミングで作物に吸収・利用されるのかを見極めています。そのため、出荷する段階では、とても魅力的な状態の野菜になっていると考えています。農薬を使わず、なおかつ栄養を最大限に蓄えた、エネルギーの高い野菜をつくる。そうした野菜を食べることが、身体の元気につながると思っています」

■「理現の会」の仲間と定期的にミーティング

「理現の会」の仲間たち

長嶋さんの野菜を購入して食べた方が、リピートしてくれるとうれしいですよね。
「そうなんです。市場などで自分が作った野菜を購入していただいて、何かを感じてリピートしてくださったり、『おいしいし、なんだか調子がいい』という声をいただいたりすることが、うれしいんです。農薬も使わないので、経費もあまりかからないし、自分としてもメリットがあります。農業に従事してから、このスタイルを一人で貫いてきたんですが、ある時から周囲の生産者に『作り方を教えてほしい』と言われるようになったんです。それで、私も包み隠さずアドバイスをしました。そうしたら、『棚持ちがよくなった』『おいしいって言われた』など、周囲の生産者にとってもモチベーションが上がるような変化が生まれたんです。その結果、今では15〜16名が同じ栽培方法で、さまざまな野菜を生産してくれています」

「理現の会」の仲間たち

この日は3名ほどが欠席でしたが、各々の栽培品種のすり合わせを行うミーティングが開催。聞いていると、大根・キャベツ・ブロッコリー・玉ねぎ・ゴーヤ・枝豆・茄子・ネギ・かぼちゃ・ビーツからトマトまで、幅広く栽培されていることが分かりました。さすが、気候が最高の三浦エリアです。

「理現の会」のミーティングの様子、高品質を証明する「酸化還元検証状」

「市場では、理想と現実から生まれた『理現の会』として販売しています。ごまかしたり、嘘をついたりするメンバーは仲間に入れないですね。真摯に向き合っているメンバーに失礼なので。ただ、品質については、生産者だけではなくマルネ農園にも責任があるので、常にチェックしています。栽培品種の共有もとても大切で、同じ品種を3人体制で栽培するなど、万が一に備えています。需要の波に合わせて供給できるようにすることもありますが、もしどこかの畑で何かあったとしても、ほかの生産者がサポートできる仕組みをつくっています」

マルネ農園 代表 長嶋真人さん

「私の栽培方法では、玉ねぎなんて2月に収穫して、そのまま置いておいても秋まで平気ですよ。トマトだって、収穫してから3カ月ぐらいは腐りません。私自身、もともと市場に卸す際に、栽培方法を特に公にしていたわけではありません。しかし、量販店やスーパーのバイヤーの中には、やはり気がつく方がいらっしゃるんですね。『理現の会』の野菜だとわかると、迷わず買われる方もいらっしゃるそうなんです。野菜の顔を見て選ばれているんだと思います。そういう事実に励まされますね」と長嶋さん。

息子さんも「マルネ農園」で農業に従事しており、長嶋さんが独自に追究してきた農業スタイルは、次の世代へと着実に受け継がれています。

マチルダでご紹介した生産者の声