今回ご紹介するのは、1971年に創業以来、きゅうり専門農家として運営を行っている、株式会社湘南きゅうり園さん。
代表取締役の吉川 貴博さんは、大学卒業後に種のメーカーに5年勤務ののち、家業に携わるように。
「6月にハウスのきゅうり畑に見学の人を入れるのは異例なんですよ(笑)」と吉川さん。
なんでも梅雨入り前後の湿度が高い時には、カビが発生する原因となるそうで、、、。
そんな中、マチルダ取材は特別に許可をいただき、お話を伺うことができました。
取材時天候がよく、ハウスの中の温度は34℃。本来きゅうりのベストは28℃だそうです。
スタッフの皆さんが汗を流しながら収穫されているのを見ると頭が下がります。
そして、きゅうり一筋で様々な研究をされている吉川さんのお話は、「へ~~~」の連続でした。
平塚市城所の場所に位置する、湘南きゅうり園。
創業のきっかけを伺うと、「この辺りは、かなりの水田地帯だったんですよ、もともと。うちも祖父の時代は、米農家でした。しかし減反政策が発令され、きゅうりに鞍替えしたんです。実はきゅうりの栽培に大切なものは、きれいな水と適度な日差しなんです。そのため、米どころ=きゅうりの産地とリンクしているので、調べてみてください」
今では、7種類のきゅうりを栽培しているため、畑は数か所に点在し、トータルで80アール。
そのどちらでも、1日に2回手による収穫を行っています。
「きゅうりの成長は早いので、1日2回でも追いつかないくらいなんです。そしてやはり、きゅうりの病気を発見するためにも、人の目で見て、手収穫することがベストなんです」
「ガーキンきゅうり」という聞きなれない名前のきゅうりですが、ピクルスの原料と言ったら、わかりますね。
少し小ぶりのガーキンきゅうりは、外来種。ハンバーガーのピクルスもこちらの「ガーキンきゅうり」です。
「このガーキンも花が付きすぎるので、育てやすいというわけでないんです。でも、国産のガーキンきゅうりを求めてくださるシェフもいらっしゃるので、やりがいにはなっていますね」と吉川さん。
さらに、「うちの畑では、伝統野菜でもある、相模半白節成(さがみはんじろふしなり)も生育しています。このブランドきゅうりは昭和4年ごろから相模地方で独自改良され、この地域の伝統野菜になっているんですが、このきゅうりは半分白いんですよ」
もちろん、一般流通に出回っている、わたしたちの見慣れたきゅうりも栽培されており、メインの時期は、2月中旬~7月7日、9月中旬~12月中旬とのこと。
それ以外の時期はお休み?と思いきや、土作りや、温室のメンテナンスなど休む暇はないそうです。
「時代が変わるごとに、栽培技術も変化していきます。以前は、炭酸ガスは早朝にまくというスタンスでしたが、今では1日中問題ないと言われています。新しい知識はどんどん吸収していきたいですね」と、進化し続ける、きゅうり栽培に吉川さんは前向きです。
「昔は、お漬物にはかかせなかったきゅうりですが、時代の流れとともに、漬物需要も減り、全体的なきゅうり消費も減っているんです。でも、私は一層おいしいきゅうりを作るべく、日夜研究をしています」
そして、最後にきゅうり農園を守っていくうえで欠かせないこととして、お話いただいた内容はスタッフについての感謝でした。
「どんなに自分が勉強をして、きゅうりの栽培に落とし込んでも、収穫をしていただくスタッフや、出荷に向けてのチェックをしてただく方の力添えがないと仕事にはなりません。ほんとうに人が財産だと実感していますね」
まだ30代半ばで、3代目を背負った吉川さんのきゅうりにかける情熱は本物だと感じるインタビューでした。