生産者の声
マチルダ生産者

埼玉県本庄市
株式会社矢島農園/代表 矢島京治さん

株式会社矢島農園 代表 矢島京治さん

埼玉県本庄市で、埼玉のいちご品種「あまりん」「とちおとめ」の栽培をしている、 矢島農園 にお邪魔しました。(取材時は2月中旬)まだまだ気軽に目にすることがない「あまりん」とは、2017年に埼玉県のオリジナル品種のいちごで、「やよいひめ(群馬県育成品種)」 と「ふくはる香(福島県育成品種)の掛け合わせで生まれました。現在は、あまり栽培量が多くないため、地元の埼玉を中心に流通が行われています。

■埼玉独自の品種「あまりん」の人気拡大

代表の矢島京治さんに栽培についてお話を伺いました。
「はじめに『あまりん』の栽培を始めたときは、不安も少なからずありました。なぜなら、花の咲く数が『とちおとめ』の約半分だったからです。ということは、収穫量という部分では多くの期待ができません。しかし、いちごのカタチが整っているという魅力、粒の大きさ、そして、みずみずしくもしっかりと詰まった甘さを感じることができ、この『あまりん』栽培へ力をいれるのはアリだなと思ったんです」

近年、贈答品としての需要があるデパートなどでも「あまりん」の魅力が次第に知れ渡ってきたとのこと。
「そうなんです。当社でも昨年までは『とちおとめ』の栽培量が多かったのですが、需要の拡大を受け、2023年は全生産量の8割が『あまりん』になっています」

それぐらい、急激な需要がでてきたということなんですね。
「ただ、収穫できる時期が『あまりん』は『とちおとめ』よりも少し遅いんです。『とちおとめ』は、11月末くらいから収穫できるのに対し、『あまりん』は2週間ほど遅く、だいたい12月10日くらいから。そして、5月半ばまで収穫できるものの、4月くらいになると酸味が強くなるので、だいだい3月末くらいがピークです。糖度は、週に一回計測をしていますね」

いちごの画像

矢島農園がいちご栽培を行うのは、43棟のビニールハウス。
近年は、高設栽培が多くなってきているものの、矢島農園ではすべて土耕栽培で行っている。
「以前は、あまり、水をやりすぎると糖度が下がってしまうということも言われていたんですが、最近では少量の水を多くの回数与えるほうがよいという論もあり、うちは、摘み終わったら水をやるというスタンスで栽培をしています」

現在スタッフは何名で対応しているのでしょう。
「スタッフは計11名です。うちカンボジアからの技能実習生を中心に4名ほど受け入れています。もう、受け入れを開始して7年ほどですが、とてもしっかりと働いてくれています。早朝に作業をしたほうがいいので、7時から『あまりん』を摘み、その後選別して、箱に詰める作業に。この詰めるのもなかなか手間がかかるのでスタッフで手分けをして行います」と矢島さん。

あまりんと箱のデザイン

目に留まったのは、「あまりん」の魅力がより一層引き立つ、センスの良い箱のデザイン。
こちらは娘さんのアドバイスの元、制作を進めたとのこと。

株式会社矢島農園 代表 矢島京治さん

矢島さんの農業への道を伺うと、
「高校を卒業後、千葉大学で2年間、農業の跡継ぎなどが集まる学科にて勉強を重ね、この世界へ入りました。当時は、いちご、アムスメロンの2種を中心に栽培をおこなっていましたね」
今も、いちご栽培を終えた後のハウスの半分は、メロン栽培へ移行し、お中元の時期に直売対応を行っているほか、年間を通じて仕事があるようにと野菜の栽培もおこなっている。
「キャベツ、ブロッコリー、玉ねぎ、モロヘイヤ、トウモロコシ、大和芋などを機札に合わせて作っています。面積は露地で10ヘクタールほど。この時期は、午前にいちご収穫をしたのち、午後はキャベツの収穫を行っています」

キャベツの収穫現場

キャベツの収穫現場も見学すると、カンボジア人スタッフがとても手際よく、リラックスした様子でキャベツの収穫を行っていた。

株式会社矢島農園 代表 矢島京治さん

矢島さんの農業に向きあう誠実な精神が、すべての現場のクリーンネスや、働いている方々の笑顔からも伝わってきました。
これからの「あまりん」需要にますます期待が高まります。

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