マチルダFamilyレストラン
Vol.4
2017/06/26

東京十月

和食のコースを中心に、アルゼンチンワインと全国の旬の日本酒を味わえるこちらのお店は、品の良い空気が流れる落ち着いた店内。内装、お料理、BGM、すべてが上質な大人和食のお店です。「8割が常連のお客様です」というのも頷けます。今回は、大人和食の名店「東京十月」のマネージャー、星野顕(ほしのけん)さんにお話しを伺いました。

野菜が季節を運んでくれる

青山・骨董通りの小笠原流会館の地下一階にオープンしたのは、今から7年前のこと。
昭和50年に誕生した純日本建築の佇まいを引き継いた店の中心には、アンテ・ヴォジュノビック<彫刻家>の18人掛けアートテーブルが配置され、時代のコラボレーションを感じることができます。

東京十月のおすすめメニューは、青参道コース 6000円(先附、前菜2種、椀、造り、焼物、ごはん(6~7品のコース)*要予約)
「メニューは、コースがメインなのですが、その中の品書きは旬に合わせて日々変化しています。魚にも時期はありますが、なかなか見た目で四季を感じることができません。その点、野菜はわかりやすく、季節を伝える大切な役割を果たしてくれています」と、星野さん。

今回の取材に際してご紹介いただいた二品は、「とうもろこしのすり流し」と「新玉ねぎの酒蒸し」。
「白味噌と出汁でとうもろこしの旨みを引き立てた『とうもろこしのすり流し』に、今日は焼いたホワイトアスパラを添えてより初夏らしくしました。そして、この時期ならではの優しい甘みが特徴の新玉ねぎはその名のまま、シンプルに強火で酒蒸しし、自家製ポン酢で召し上がっていただこうと思っています」。

2~3日に一回、コース内容が旬に合わせて変化していくという。
コースの内容が日々移り変わっていくことも、常連客が足を運びたくなる大きな理由になっているに違いありません。

生産者の顔が見える安心感

現在は、マネージャーという肩書でお客様と接している星野さんですが、元は料理長として様々な経験を積んできたと伺って納得です。
「私は、和食→洋食→和食と、どちらの調理も経験してきました。その中で、和食のシンプルさにはより素材そのものの持つ味のパワーが大切だと思うんです」
そんな、星野さんの好きな野菜を伺うと、
「トマトですね、ソースにもできるし、味のベースにも最適。そしてこれからの時期には甘酢漬け、おろしトマトにするなど大活躍ですね」
和洋どちらの調理経験もあるからこその、野菜に対する愛情とバリエーションの深さを感じます。

そして、東京十月は季節の味わいに合わせ、日本酒もラインナップが変わります。
「当店では、全国の特に小さい酒造で丁寧に作られた日本酒を常時20種以上セレクトしています。これは、野菜にも言えることなのですが、やはりどんな方がどんな方法で心を込めて作られたのかということは大切ですし、その想いを伝えるお手伝いをしたいと思うのです。初夏の野菜が楽しめるこの時期は、東京・東村山の蔵元『屋守(おくのかみ)』の日本酒をぜひ味わっていただきたいです。」

想いの詰まった和食と日本酒の楽しめる「東京十月」で日本食文化の素晴らしさを再発見できるでしょう。

東京十月

住所
東京都港区南青山5-7-17 小笠原流会館地下一階
TEL
03-3409‐6077
営業時間
17:00~23:00
定休日
日・祝
Webサイト
http://www.tokyo-jugatsu.com/