今回ご紹介するのは、月島もんじゃ街に2017年6月7日にオープンして以来、地元のお客様に愛されている中華とワインのお店「hugan」。なぜ、あえてもんじゃ街に?そして中華らしからぬ調理法とは?hugan風「農園野菜炒め」とは?オーナーシェフ、鶴岡久也さんにお話しを伺いました。
「実は、ここのお店のテーマはワインなんです。だからワインを先に選んでからそれに合う料理を作っていくんです」という、鶴岡さん。店名にきちんと“ワイン”という表記があることからも納得です。
鶴岡さんは、千葉県出身。高校卒業後は接客スタッフからのスタートだったと聞き、穏やかで優しい笑顔の原点を見た気がしました。
その後、飲食の世界へ。グローバルダイニングの「モンスーンカフェ」や、東南アジア料理店「池袋オリエンタル ビストロ アガリコ」などを経験し、2016年の1月に独立を決意したとのこと。
「はじめから都会と下町の融合するこの近郊で探していたんです。それで、月島のあたりの雰囲気が良いなと思っていたところ、ちょうど自分が一人で切り盛りできるサイズの物件に出会うことができたんです。初めての独立なので、カウンター越しにお客様とお話できるようにしたかったんです」
オープン後ほどなくして、勝どき、月島の地元の方がふらりと足を運びはじめ、その後はおいしさと居心地の良さが口コミで広がり、今では遠方からも多くのお客様が来店している様子。
「ありがたいですね、日々お客様と向き合う限りです」
「中華ってどうしても油処理したり、炒める時の油の量もかなり使用したりメニューが多いですよね。うちのお店では、できる限りヘルシーにしつつ、素材の味を引き立たせた料理を提供していこうと思っているんです」
と、お話いただきながら、今回紹介いただくお料理の「野菜炒め」の調理がスタート。
「まず、フレッシュな野菜を蒸籠で軽く蒸して火入れを行います。ここが通常の中華レストランと違うところですね。普通ですと、野菜を油通しするので。炒める際に、野菜の旨みに加えタンパク質の旨みを重ねるために海老を入れ、丸鶏からとったスープを投入し、味付けはシンプルに塩のみで素材の味わいを最大限引き出すよう心がけています」
スープを投入したタイミングで大きな火の手が上がります。やはり中華の決め手は火加減だと再認識。
あっという間に、シックなプレートに美しい野菜が艶やかに並びます。
中華の野菜炒めというと、いくつものパターンが思い浮かびますが、鶴岡さんのいう「野菜炒め」には思わず、「え???これが野菜炒め?」と、驚くばかり。メニュー名は「農園野菜炒め」とのこと。
「彩り豊かな野菜は10種類以上使用しています、すべて国産野菜です。なんか中華で使用する野菜って、決まっているものが多いですよね。そこの発想を取っ払おうと思いまして。野菜炒めといって、この一皿が登場したら『わっ!』ってなりますよね」と鶴岡さん。
こんな素敵な野菜炒めなら、毎日食べたいくらいです。
最後に、オープンから半年たった今、目標を教えてください。
「どうしても、中華というと高級素材が多いこともあり、高価なイメージをもつ方もいらっしゃいます。
しかし、私の目指す中華はおいしくて手ごろな価格で提供することです。そのため、アワビを自分で干して乾燥アワビを作ったり、国産レモンをジンでつけたりと自身のひと手間を惜しまないようにしています」
鶴岡さんの愛情をたくさんかけられた素材たちが最高のお酒、一皿になっているのです。
リピーターの方に向けてもあり、常に本日のおすすめメニューを黒板で表現。
ぜひ、鶴岡さんセレクトのワインと味わい豊かなメニューとのマリアージュを楽しんでください。