2019年2月22日でちょうとオープンから5周年を迎えた、ピッツエリアの名店「La TRIPRETTA」。
東急目黒線、武蔵小山駅から徒歩2分の場所にあるこちらのお店、今では予約を取ることさえ困難なほどの人気店です。
ピッツァをはじめとするお料理がおいしいのはもちろんのこと、お店で働く方々の元気なエネルギーもお客様を引き付けている理由に違いありません。今回は厨房を守り続けている、シェフの川田恭大さんにインタビューをさせていただきました。
地域密着型の人気店のシェフのお料理に対する思いから、月に1回(第3木曜か第4木曜)のお料理教室での秘話、そして野菜に対するこだわりまで、様々な角度から真摯にお話を伺うことができました。
まずは、川田シェフがこの世界に入ったきっかけをお聞かせいただけますか?
「はい、結構単純なんですよ。洋食店でアルバイトをしていたとき、シェフって素敵だなって、シンプルに憧れを持ちまして。
それで、本格的に飲食の道を目指すことを決めたのですが、私にとってその時一番カッコいい!と思ったのが、イタリアンシェフだったという(笑)」
そんな川田シェフですが、ホール接客の経験もあるそう。
「前職のイタリアンに入店したとき、初めの半年はサービス担当でした。お客様とのコミュニケーションからスタートと言われ、自分的には早く厨房に入りたくてうずうずしていたのですが、今となってはこのお店もオープンキッチンでカウンターの方とのコミュニケーションがとっても重要だったりするので、お客様と会話をするという経験をしておいて本当によかったです」
イタリアンの中でも、リストランテからピッツエリアまで各カテゴリーに分類されると思うのですが、こちらのお店は、ピッツエリアですよね。川田さんから見たピッツエリアの魅力を教えてください。
「そうですね、まず庶民的であり、日常的に通うことができる地域密着のお店という点です。特におめかしをすることもなく、日々の生活の中で食事をし、リラックスして語らう場所だと思います」
川田シェフが、野菜に惹かれるようになったのはいつごろでしょうか。
「私は、東京都出身で、普通にスーパーの野菜を食べて育ち、特に生産者の顔がみえる野菜と出会うことなく大人になりました。ところが、イタリアンのシェフになったことで、生産者で野菜の味わいが異なることを、身をもって知り、そして野菜を作る過程での様々な想いを知ることになり、今までの野菜に対する概念が変わってきたというのが本音ですね。そもそもイタリアンは素材の味そのものが表現される料理なので、本日ご紹介するカポナータ(冷製のトマト煮)にしてもトマトの味というのが大きな影響を持つことになるんです」
カポナータは、7種の野菜がそれぞれの調理法(パプリカ&ズッキーニはロースト、玉ねぎ、にんじん、セロリは炊き上げ、米なすとヤングコーンはトマト煮込み)で仕込み、最後にすべてを一緒に合わせ、しっかり冷やすことが大切。
時間が経てばたつほど、味がなじむそうです。
川田シェフは、規格サイズの野菜ではなく、ご自身で求める野菜のサイズが明確だそう。
その理由を伺うと、「私の中で、お皿にのったときの料理のイメージが完成しているので、そのイメージを具現化するには、野菜のサイズが大切なんです。そのため、料理によって大きいにんじんがいいとか、細いにんじんがいいとかがあるんですよね」とのこと。
そのこだわりを伺うと、ますます「La TRIPRETTA」の料理のファンになってしまいます。
そんなこだわりを持つ川田シェフですが、月に1回の料理教室の料理は、とてもシンプルな食材を使うことに気を付けているそうです。
「はい、料理教室ではどこでも手に入りやすい素材を使うようにしています。そして、ひと手間を加える大切さを伝え、“こんなにおいしくなるんだ”というゴールを目指していますね。実は、料理教室を始めるまでは自分がやっている当たり前のことを一般の方は知らない(していない)ということに気がついていませんでした。
例えば、サラダの野菜の水をしっかり切りましょう!と言っても、みなさんしっかり切っていない(笑)
しっかり切るには理由があって、ドレッシングの野菜への混ざり方が全く違うんです。
他にも、パスタを茹でるお湯の塩加減。ここを適当にしてしまうと、味の決めが変わってきます。料理教室を始めて、“あっ、そこやっていないんですね”という(笑)私は、教えるということを日々勉強しています」
月に1回の料理教室は定員8名。
川田シェフ直々の料理を習った後は、お酒とともに、お料理を楽しみながらのランチになるそうです。
「みなさん、食が好きな方々ばかりが参加されるので、話も尽きずあっという間に時間が過ぎてしまいます」
最後に川田シェフの今後の目標をお聞かせください。
「はい、やはり飲食の道に入った以上、最後は自分の店を持ちたいなという想いがあります。今は、経営についてオーナーの元、学ばせてもらっています」
お客様と距離感の近いお店を出したいと、川田シェフ。その時がくるのが楽しみです!