生産者の声
マチルダ生産者

千葉県いすみ市の生産者
(久我農園:久我徹雄さん / はちべえ農園:松﨑秋夫さん)

久我農園:久我徹雄さん

久我農園:久我徹雄さん

千葉県いすみ市は水田が広がる、稲作が盛んな地域。近年では、学校給食のお米がすべて有機米になったことで注目を浴びています。今回は、米農家として主栽培をしつつ、にんじんや苺などの栽培を有機や減農薬といった環境にやさしい方法でチャレンジしているお二方にインタビューいたしました。

■いすみ市の給食への有機米活動に賛同

いすみ市の給食提供をする有機米「いすみっこ」の生産者である、久我徹雄さん。農業をやりながら、音楽フェスを開催するなど、とても軽やかな活動をされています。いつから農業に従事されてるのでしょうか。
「代々の農家でありながら、若い頃はまったく興味がなかったというのが正直なところです(笑)。私は、7人兄弟の5番目なのでまさか自分が跡を継ぐということは頭の片隅にもなかったですよね。音楽が好きで、東京に出て8年くらい自由に生活をしていました。26歳の時に地元に戻ったタイミングで、兄弟が跡を継がないという状況を受け止めて、じゃあ、自分がやるかなと」

そんな流れから農業を営みつつ、今ではいすみ市で音楽フェス開催も実現。

「そうなんです。新しい音楽というか、ジャンルに縛られない音楽をみんなで笑いながら聞きたいというだけなんです、自分が(笑)。特に音楽と農業に親和性はないです。農業の仕事は、ここの場所に絶対にいないといけないですよね。自然との調和の中で、成長を見ながら栽培方法を掘り下げていく日々ですが、ゆとりというか、エンターメインメント性として、もう少し農業も柔軟性をもって取り組めることが伝わるといいなと思います」

久我農園の収穫の様子

有機米や有機にんじんは、いすみ市の給食へ提供されているとのことですが。
「そうですね。お米に関しては、いすみ市が給食米を有機米にするという流れに賛同しました。作ったものが、未来の子供たちに食べてもらえるという点でもやりがいはありますし、買い取っていただけるという保証があるという点でも助かります。にんじんに関しては、この土地の気候があっているので、有機栽培が比較的簡単でした。給食にも提供しています。しかし、いすみ市の畑の面積は少ないので、大幅な生産拡大というまではいかないですね」

久我農園の畑の写真

この先の有機栽培への取り組みについてはどのようにお考えですか。
「有機のお米に関しては、自分の采配のなかで栽培ができるようになりました。野菜は、種類によっては有機の枠というものが難しいなと感じています。ここで育てているネギも種を撒くときのチェーンポットに糊が付いているだけでNGになってしまうんです。ただ、できる限り、環境にやさしく育てる方針は続けていきたいなと思っています」

はちべえ農園:松﨑秋夫さん

はちべえ農園:松﨑秋夫さん

■生物の力をかりて、試験場として苺栽培を開始。

400年を超える歴史をもつ、はちべえ農園の屋号「はちべえ」。いすみ産こしひかり「八米(はちべえ)」は、とても高い評価を得ています。北陸の大学卒業後に、実家へ戻り代々の農業の道へ進んだ松﨑さん。米農家と並行して、3、4年前から基盤整備事業の一環で、苺のハウス栽培を始めたといいます。
「試行錯誤で始めました。でもやるからには、しっかりと形にしようと。もともと農協の青年部にいたりしていましたので、地元の先輩のアドバイスももらいながらのスタートでした」

はちべえ農園収穫の様子

受粉を行う際に放つのは、ミツバチではなく、クロマルハナバチとのこと。
「はじめは、ミツバチに頼ったんです。でも、曇りだと動いてくれないし、なかなか相性が合わなかったですね。それで、クロマルハナバチに移行しました。この蜂はミツバチよりも寿命が短く30~45日。苺の栽培シーズンの中で、3サイクル必要なんですが、積極的に受粉活動をしてくれるので、助かっていますね」
他にも、葉に寄生する害虫対策として農薬ではなくダニ(リモニカスカブリダニ)を使用するなど、自然に寄り添った生育環境にこだわっています。「病気予防のために農薬を使用するしかないタイミングはあるのですが、できる限り生物の力などを借りて、減農薬を心がけています」

はちべえ農園いちご園の写真

生産品種は、「紅ほっぺ」「章姫」「やよいひめ」「ふさのか」「恋みのり」の5アイテム。
「まだまだコロナ禍ではありますが、千葉県のガイドラインを守りつつ、2022年1月から苺狩りを行います。みなさん5種を食べ比べて自分の好みの味を見つけてください。」

マチルダでご紹介した生産者の声