マチルダFamilyレストラン
Vol.16
2021/10/28

三吉スパイス

三吉スパイス カレーライスの写真

今回ご紹介するお店は、飲食店というよりも、ケータリングビジネスを主軸に置くセントラルキッチン。
本業が、音楽プロモーターである、𠮷田喜英彦さんが飲食の世界に足をいれたのには、理由があるそうで。
この「三吉スパイス」が出来た由来を聞くにつれ、今回のプロジェクトがとても意味のあるものだと実感。
きっと、これから、音楽業界への一石を投じてくれるに違いありません。
しかし、セントラルキッチンを構え、ようやく数々の準備を整えた矢先のコロナ禍への突入。
飲食業界はもとより、エンターテイメント業界も大打撃をうけたこの世情に悔しさがにじみます。
「仕方ないです。今は、じっとがまんの時期ですね」と吉田さんは語ってくれました。

三吉スパイス 角煮丼の写真

音楽業界の食に対する意識を変えたい!

「私は、このお店というかセントラルキッチンを作ったのには、様々な方からの助言や希望的意見があったからなんです」と語る、𠮷田さん。本業は、音楽プロモーターとして有名ミュージシャンのコンサートツアーなどを企画担当。起業して25周年を迎えるそうです。
全国ツアーとなると、1年間でかなりの日程を一緒に過ごす多くのスタッフたち。そのスタッフは寝る間も惜しんでの業務遂行をする一方で、食事に対するモチベ―ションの低さが目に余ったとお話いただきました。
「私が見ている限り、食を楽しみにしている人はいません。ただ、お腹を満たすためだけの食事なんです。そもそもオーダー担当も食に長けているわけではないので、日々代わり映えがない仕出し弁当や揚物中心のお弁当など、決して健康的な食事とはいえませんでした」。
そんな中、“食いしん坊”“食にこだわる”というイメージが定着していた𠮷田さんに白羽の矢が放たれたそう。「とにかく、ライブのケータリングを美味しくしてほしい、このままではスタッフの健康状態が良くなくなる。なんて声を数年にわたって頂きまして。音楽レーベルの方々をはじめとする周囲の応援状況などを鑑みて、飲食業界(ケータリング)に手を染めることになっちゃいました(笑)」

三吉スパイス 吉田さん
三吉スパイス 外看板

「西麻布HOUSE」谷祐二シェフとの出会い

ついに、プロジェクトを始動させた𠮷田さんには、絶対においしいケータリングメニューを完成させるという熱い想いとともに、廃棄をなくすという隠れミッションも。

「最高のケータリングメニューを開発するには、どう考えてもプロのシェフの力が必要だ」と、都内のレストランシェフのリサーチを開始しはじめたとのこと。
「いろんなレストランシェフの味を体験した上で、メニュー開発をお願いしたシェフの候補をリストアップしました。その中に、西麻布の名店 HOUSE もあがっていたのです。個人的には絶対に谷さんにお願いしたい!と、思っていたところ、音楽レーベルの方々の推薦票も谷さんで。何としてでも受けてもらいたいと、自分達の想いを伝えつつ、お願いに行った次第です」
コンセプトは、“とにかく健康になる食事”。食にこだわりたいと言いつつも、コンサートツアー中の食事は食べやすさも大切。スピーディーに食べることが出来、一食でバランスが良いことを意識したメニュー開発がスタート。揚物はなるべく出したくないし、野菜をたくさん摂取してもらいたい、という想いのもと“スパイスカレー”がメニューの核となったそうです。
そして、明確なコンセプトが出来上がります。
「“三吉(三吉)”は、1)おいしい、2)たのしい、3)けんこう。そして、関わる皆様に3つの吉が訪れるとこを願って名付けました。3つの良いことが集まって、三吉(サンキチ)という信念を元に、『三吉スパイス』は誕生したのです」
谷さんが、京都出身というご縁もあって、あの肉の有名店『中勢以』のお肉と野菜をたっぷりと煮込んだスパイスカレー(三吉欧風カレー)を中心に、シーフード(ホタテ)カレーや、ドライカレーがメインメニューに。その後、「三吉スパイス」の厨房担当シェフがイタリアン出身だったこともあり、ボロネーゼや、アマトリチャーナなどのパスタソースも開発されました。

そして、まさにこれから順調に展開していこう、と思っていた最中の、パンデミック。フェスやコンサートを中心とした音楽イベント向けのケータリングを見込んでいましたが、コロナ禍でエンターテインメイント業界は一気にストップ。そして、みんなで食事をするというケータリングは完全にNGとなってしまったのです。
𠮷田さん的には「耐えるしかない」との想いから、通販にも力をいれつつ、セントラルキッチンとした構えた場所で、イートインやテイクアウトを開始。嘆いてるばかりではありません。

「今では、近隣のかたにランチに寄っていただくことも、うれしいですね」とメニューを見せていただくと、なにやら、日替わりで「ルーローハン」や「ハンバーグプレート」「ハヤシライス」など食べたくなるメニューばかりのラインナップ。
アフターコロナに向けてのメニュー開発も順調に進んでいる様子です。

サンキチスパイス店内の様子Tシャツ
三吉スパイス 吉田さん

最後に、一瞬で目を奪われるインパクトの「三吉スパイス」のロゴ、オリジナルTシャツに、店舗設計について。
「それは、まさに本業の得意分野なので(笑)店頭のカウンターや、横の看板ボードなどは、あの、“ドリフターズ”をも担当していた大道具さんが対応してくれました。そして、店頭の立派なオリーブの樹木は、樹齢100年です。通常ではなかなか手に入らないです。今までのネットワークが生きていますね(笑)」

インタビューをしている間中、スパイスの香りがほどよく漂ってくる状況に、思わずカレーを数種類テイクアウト。カレーの魔力はそこはかとなく深いです。全国の様々な会場で「三吉スパイス」に出会えることを楽しみにしています。

三吉スパイス【セントラルキッチン】

三吉スパイス【セントラルキッチン】
住所
東京都品川区西中延2-16-4
TEL
03-3785‐5130
営業時間
月~金 11:00~18:00
定休日
土曜日、日曜日、祝日
Webサイト
https://3kichi.com/